Reboot!有福!

有福温泉の再起動。

 
 

「座して死を待つよりは、出て活路を見出さん

島根県江津市有福温泉町。言わずと知れた、江津に古くから存在している温泉街だ。
今、有福温泉が「再起動」をかけて大きく動き出している。

 

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新型コロナウイルスによる観光産業へのダメージの話以前に、有福温泉は長い間、苦境に立たされていた。観光客のピークは15万人を数えた平成12年(2000年)から、20年以上経過している。近年、観光客はピークだった頃に比べて、5分の1。賑わいがあった当時、旅館は10軒あったが現在は3軒となり、疲弊してゆく有福温泉街は誰の目にも明らかだった。

インターネットサービスは加速化され、個人の旅のあり方や楽しみ方も大きく変わっていく。黙っていてもお客さんがやってくる時代はとうに過ぎ去り、今や観光業全体に「変わらないこと」と「変えていく」ことの両面が求められていると言っていい。

しかし、火災をきっかけに3つの旅館が閉館してしまったこと、そして平成25年(2013年)夏の豪雨災害。この大きな出来事は忘れてはいけない。日々、この温泉街で働く人々の心に影を落としたことは想像に難くない。

 

江津市がこの街の再生に向けて舵を切った。時代や災害、なにかのせいにしたところで何も始まらないし、何かが変わることはない。この町で生きていかなければいけない人、町を存続させなければいけない人たちがいる。

今、江津市ができることー。

 

令和3年度の総事業費は約6億円。到底数年で終わるプロジェクトではない。老朽化した建造物をリノベートし、次世代の人たちをも巻き込みながらハードとソフトを充実させ、ある程度の形を成すまでにはそれなりの時間を要するだろう。まさに有福を「再起動」させる長期的な取り組みだ。

 

有福温泉の誕生は西暦670年よりも前と言われている。聖徳太子の時代まで遡るその歴史、なんと1350年以上。古来より名湯が湧く「福有りの里」として知られ、そのまま有福温泉の名前の由来となった。誰がなんと言おうとこのまま衰退、消滅させるわけにはいかない。

本サイトではこの街全体の有福再生に向けた取り組みを追い続けるために「Reboot!有福!」と題した新連載をスタートする。有福各所に伺い、関係者の話を聞き、「いま、有福がどうなっているのか」を伝えていく。

 

 

 

取材(写真・文)
戸田 耕一郎 / GOGOTSU.JP 編集部

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